【具体的に解説】ADHDの人はなぜ仕事が遅いのか?その原因と改善策

オーくん

仕事が遅すぎていつも時間に追われるし、周りからも、仕事が遅いことを注意されていて辛い。
たぶんADHDの特性が原因なんだろうな。
どうにかしたいけれど、何が悪いのかさえわからない。
どうすれば仕事が遅いのを改善できるんだろうか…

今回はこんな方向けに記事を書いていきます。

この記事を書く私もADHDと向き合う当事者です。

冒頭の悩みは昔の自分そのもので、ADHDで仕事が遅いと悩む方の中には、

同じような状況に陥っていることもあるんじゃないかと。

ですが、長年改善に取り組んできた結果、本質的な原因と対策方法がわかるようになってきました。

ぶっちゃけ、障害は治るものではないので、相変わらず困ることも多いですが、現在は普通に会社勤めをしており、たまには「仕事早いね」と言われることも。

ということで、この記事は過去の「仕事が遅くて悩んでいた自分」に向けて書いていきます。

私自身、これからご紹介することを実践してきて、目に見えて改善できたので、それなりに再現性のある話かと思います。

それではいきましょう。

ADHDの人が仕事が遅くなる原因

たぶん漠然と仕事が遅いことはわかるけど、何が原因かわからないって方、多いんじゃないでしょうか?

実は私も昔、こんな風に悩んでいました。

amatochan
どうして自分はこんなに仕事が遅いんだろう?
自分なりに全力でやっているつもりなのに、周りの人の何倍も時間がかかってしまう。
改善したいけれど、何が悪いのかもよくわからない…。

中には、人が1時間程で終わるような仕事を、1日くらいかかっているようなこともありましたね。

いや、お恥ずかしい…。

最初はその原因がサッパリわからなかったんですが、経験と分析を重ねる内に、以下のような「仕事が遅い原因」がわかるようになりました。

  • 段取りが組立てられていない
  • 理解力が低い
  • 仕事の知識不足
  • 勘違いが多い
  • すぐに忘れる
  • 情報が頭の中で散らかる
  • ミスが多くて慎重になる

では、それぞれについて解説していきます。

段取りが組立てられていない

仕事は段取りやタスクの組立てが必要不可欠です。

仕事ができる人にとっては当然の話だと思いますが、仕事が遅い、うまくいかない人の原因のひとつは、この段取りがうまくできていないからではないかと思います。

実際、当時の私は、仕事の全体像が見えておらず、優先順位はめちゃくちゃだし、仕事を進める上で必要なこともわかっていないことがたくさんありました。

結果、何度も同じところを行ったり来たりすることが多く、仕事がいつまで経っても終わらない状態になっていましたね。

理解力が低い

これも、私自身の経験でもあるのですが、ADHDの人は複雑な内容ををすぐに理解するのが難しい傾向にあります。

同じ内容を聞いていても、他の人が”10”理解しているとしたら、「自分は5ぐらいしか理解できていなかった」ということが日常的にありました。

理解が浅いことで、間違いや、手戻りが多くなり、結果的にスピードもクオリティも低いアウトプットしか出せない状況になっていたのです。

仕事の知識不足

仕事に対する知識不足が原因の場合もあるでしょう。

先に書いたように、ADHDの人は理解力が低い傾向があるため、聞かなければわからないシチュエーションが、人より多くなりがち。

結果的に聞きづらい状況が生まれやすいんじゃないでしょうか?

こうなると、ただでも理解力が低いのに、人に聞けなくなることで、更に知識面で遅れをとることになります。

勘違いが多い

これはADHDに限らず、広汎性発達障害などにも言えますが、発達障害の特徴として、「言葉のあや」や「あいまいな表現」の理解が難しいということがあります。

話をしていても、どこか話がかみ合わない、何か理解がズレている、ということがよくあります。

私の場合、学生の頃までは「天然キャラ」でどうにかなっていましたが、社会に出た途端、たちまち苦しむことになりました。

すぐに忘れる

ADHDはとにかくすぐに忘れます。

たとえばこんなところ。

  • 予定を忘れてすっぽかす
  • さっきまでやっていたことを忘れる
  • 昨日話していた内容を忘れる
  • 忘れ物常習犯
  • 書類のヌケモレ多発

こんな感じで、あらゆることを忘れていくので、仕事のやるべきことも忘れるし、教えてもらったこともすぐ忘れます。

こんな状態のまま仕事をしていれば、そりゃあ仕事が遅くもなります。

情報が頭の中で散らかる

ADHDは情報を整理するのが苦手です。

私が特に感じるのが、上司や人に報告や説明、相談する時に話が支離滅裂になること。

なので、このブログを書くことは、私の頭の中を整理する意味でもとても有効なのですが…。

まぁ、そんな話は置いておいて。

とにかく頭の中がとっ散らかり、何からやれば良いか?どうすれば効率的に進められるか?がイメージしづらいのです。

つまりはさっき書いた、段取りが組めなくなる訳ですね。

ミスが多くて慎重になる

以上のような特徴があるということは、ミスも多くなるのは必然です。

ミスが多くなると、気持ちは委縮し、とにかく慎重になります。

ですが、元々仕事が遅い上に慎重になると、更に遅さに拍車がかかってしまい、仕事のミスも多いし、手も遅い。

どんどん負のループに陥ってしまうんですよね。

私もこの状況に、とても疲弊してきました。

ADHDでも仕事の遅さを改善できた方法

こんな感じで、ずいぶんと長い期間、仕事が遅い理由や原因がわからず苦しんでいました。

しかし、自己分析を重ねた結果、段々と自分の置かれた状況の全体像が見えてきたのです。

原因がわかってきてた所で、効果がありそうな方法をとにかく試していきました。

その結果、いくつか改善に効果があった方法を見つけたのです。

それが、こちら。

  • 知ったかぶりしない
  • 言葉ではなく文字や図で説明してもらう
  • 段取りを身に付けた
  • メモの活用
  • 効率化ツールの活用
  • 手順書の作成

これらを習慣化して、しっかり意味を理解できるようになれば、かなり改善できるはずです。

それではその内容を解説します。

知ったかぶりしない

まずは、仕事で使うツールや、内容、知識をしっかり理解しておかないと、そもそも何も始まりません。

いくら段取りを考えようと思っても、仕事を進める基礎がわかっていなければ、何をどう進めればいいのかなんて、わかるはずがありませんからね。

そうした時に意識してきたいのが、「知ったかぶりしない」ということ。

ADHDだと人より理解するのに難があるため、つい周りに流されて、「わかったフリ」をしてしまうこともあるんじゃないでしょうか?

これ自分の経験でもあるんですが、やめておいた方が良いです。

amatochan
私は、これを社会に出たての頃にやってしまったがために、完全に取り残されて、ついていけなくなりました。

実はここには大きな勘違いがあったので、そのエピソードをお話しします。

知ったかぶりに陥ったエピソード

いつも仕事のミーティングや業務を進める中で、同じくらいの時期に入社した人達は、特に質問をしなくても仕事を黙々とこなしていて、しかもちゃんとアウトプットを出している人がたくさんいました。

自分的には仕事でわかっていなかったことが多かったけれど、こんな風に思いました。

「みんな何も聞かずに仕事をちゃんとできているなら、自分もやっていくうちにわかってくるかな?」

ここで、大きく判断を間違えたのがこんな事実でした。

健常者の人は”5”ぐらいの情報を聞いて”10”の意味を理解できている

当時の自分は障害をもっているとは思わなかったので、「周りがそれでうまくいってるなら、今はわからなくても、とりあえず自分で考えて進めよう。」

この「周りができるなら自分も」という判断が、長らく自分を苦しめることになりました。

いつまでたっても仕事の内容を把握できず、徐々に周りに置いて行かれ、しまいには取り返しのつかない状況に陥っていました。

こんな出来事の連続から自身の障害を疑いはじめ、良い意味で、「自分は周りとは違う」ことがわかってきたんです。

周りは、少しの情報でも多くを理解できているけれど、自分にはその能力が無いのだ、ということがわかってきたんですよね。

そう…だから周りと同じようにやっているのに、いつも仕事についていけなかったんです。

この事実を知ってからは、わからないことは出来るだけそのままにせず、解決するように努めています。

まずは自分で調べてみて、わからなければ人に聞くということを繰り返しました。

仕事をしていれば、疑問に思っていることや、わからないことは、芋づる式にたくさん出てきますからね。

そうしていく内に、知識の点と点が繋がっていき、徐々に仕事に対する知識を蓄積していくことができました。

しかしこんな話を聞くと、「いつも人に聞くのは聞きづらい」という方もいるかもしれません。

すいません、これに対して役に立ちそうなアドバイスは、今のところ持ち合わせていませんが、ひとつ言えることは、「わからないことをそのままにしていれば、後に強烈なカウンターを喰らいます」ということ。

ちょっとキツイ表現ですいませんが、自分がとても痛い思いをしたので、ここは強くお伝えします。

今の私は、プライドもへったくれもありません。

わからないことは「わからない」と正直に伝えます。

バカと思われようが、わからないまま「わかったフリ」をするのは更に罪が重いという経験を、イヤという程味わってきましたから…。

わからないことは、しっかり解決しておきましょう。

言葉ではなく文字や図で説明してもらう

自分で解決できないことは人に相談することもあるでしょうし、仕事をする上で、指示を受けたり、説明をされる時もありますよね。

そんな時、次に困るのが、「人の話を理解できない」ということがあるんじゃないでしょうか?

ADHDの特性には、複雑な内容を理解するのがかなり困難なことがあります。

特に話で説明されると、どんどん内容を忘れる上に、聞いた情報をうまく処理できず、結果、内容が”チンプンカンプン”という状況になりやすいです。

よくプレゼンの質疑応答なんかで、複数の質問が出た時、記憶しながらひとつづつ答えてる人を見て、私はいつもこう思います。

なんでいくつも記憶しながら答えられるの?

こんな芸当は、私にはとてもじゃないですができませんでした。

でも、これに対する効果的な方法が、「文字や図を使って説明してもらう」ということ。

発達障害に限らず、人は話で聞くだけよりも、文字起こしや図を使って説明された方がより理解しやすい傾向があります。

文字や図での説明は、発達障害の方にはテキメンの効果があると思っていて、私はいつも、説明する時も、説明される時も、できるだけ書いて、伝えるようにしています。

昔から人の話を理解しづらかった私は、いつの頃からか自然にこの方法を取っていました。

もし活用していなかったという方は、ぜひ使ってみることをオススメします。

段取りを身に付けた

仕事の基礎知識などが身についてきたら、次に仕事の遅さを改善する壁として、段取りがあると思います。

段取りは仕事でもその他のことでも、スピード、クオリティ、正確性、あらゆるアウトプットに直結します。

ただ残念なお知らせですが、ぶっちゃけ、段取りはすぐに身に付けられるものではないでしょう。

理由は、知識と経験の蓄積が必要だと思うから。

大切なのは、継続して段取りを思考するクセをつけること。

意識して改善を続ければ、ADHDをもっていても、徐々に優先順位や組立て思考は鍛えられるはずです。

これは、全く段取りできなかった私が改善できたので、他の方でも再現性はあるんじゃないかな、と考えています。

段取りの重要性や身に付ける方法については、こちらの記事にて解説しています。

ぜひ、ご活用して頂ければと。

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とにかく日常、意識して仕事の優先順位や、手順を組立てる習慣をくり返していけば、徐々に身についてくるかと思いますよ。

メモの活用

メモはあらゆる場面で大活躍するので、かなりオススメです。

具体的な活用シーンはこんなところ

  • 聞いたことや知ったことを忘れないようメモ
  • 日々のタスクやTODOを書き出すメモ
  • 段取りを考えるメモ
  • 自分の得意、不得意を分析するためのメモ
  • わからないことを書き留めておくためのメモ
  • 課題や理解できないことを分析するためのメモ
  • スケジュール管理のメモ

メモは昔からある古典的な方法ですが、あらゆる場面で応用が効く、優れたツールだと思います。

特に、理解力や記憶力などに難があるADHDにとっては、必須ツールと言っても過言ではないでしょう。

メモの活用方法についてはこちらの記事にて解説しています。

ぜひメモの習慣は取り入れておくことをオススメします。

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効率化ツールの活用

昨今は仕事のみならず、プライベートでも役立つツールが数えきれない程あります。

ここで”あまたある”ツールについて書き出すとキリがないので、割愛させて頂きますが、活用していけば、ADHDの特性をカバーできることが多くあるでしょう。

たとえばツールには、こんな機能をもったものがありますね。

  • PC内のデータを一瞬で探し出せるツール
  • 書類等の変更前後の差分をチェックしてくれるツール
  • 誤字、脱字をチェックしてくれるツール
  • 忘れ物を知らせてくれるツール
  • 要因分析ツール

これはごく一部を書出してみましたが、他にも色んな効率化できるツールがあります。

ご自分の特性をカバーできるようなツールがあれば、余計な手間が省けて、作業効率がグッと上がるばかりか、心配事が減ることもあるでしょう。

便利なツールについては、またの機会にご紹介していきたいと思いますよ。

手順書の作成

どの職場でも、手順書やフローなどはありますが、これだけだとADHDの人にとっては情報が足りないことが多いんじゃないでしょうか?

実際私も、職場の手順書だけでは理解できなかったり、わからない箇所が出てくることが多発します。

また、健常者の方は何の問題もなく進められることでも、ADHDな私にとっては、何度も詰まって時間がかかる業務などが存在しました。

そこで、自分なりの手順書を一度作ってしまえば、次からはあちこち迷わずに進めることができます。

さらに、おおよそ仕事にかかる時間も予測できるようになってくるので、仕事の段取りも立てやすくなる相乗効果もあるでしょう。

ただ、注意しておきたいのが、手順書をつくる時には、ちゃんとその業務の内容を理解した上で作成しましょう。

当然ではありますが、わからないことはそのままに、歯抜けだらけの手順書を作っては意味がありませんし、たとえ「手順通りにやればできるもの」にしても、内容の理解がないと、マニュアルがないとできない人間になってしまいます。

マニュアル人間にはならないように、内容を理解することは大前提

マニュアル人間になると、少しでも状況が変わるとどうすればわからなくなります。

しかも、仕事において手順通りにいかないことはかなりの確率で起こりますから、手順書もほとんど使い物にならないものになってしまうでしょう。

本質的な問題をあぶりだすのがキモ

ADHDの特性により、仕事が遅くなっている場合、

いかに本質的な問題をあぶりだせるか?

これがキモになる、と考えます。

これはちょっと厳しめかもですが、自分では努力をしているつもりでも、ただやみくもに努力していては成果につながりません。

たとえば…

  • とにかく時間をかけて終わらせる
  • 場当たり的な対策
  • 原因はよくわからないが今回はできた

こういった状態だと、いつまでも自分の経験が糧となっていきません。

本質的な問題をあぶり出すには、こんな自問自答をくり返すのが重要と思います。

  • なぜ上手くいかなかった(上手くいった)のか?
  • どうすればより効率化できるだろうか?
  • どうしてあの人は仕事が早いのだろうか?
  • どこで、無駄が発生しているんだろうか?

自分への問いかけを繰り返していくうちに、思考力が鍛えられます。

そういう私も昔は、いつもボーっとしている性格でした。

普段から何も考えていないと、情報があっても右から左へ抜けていくばかりです。

が、この問いかけの習慣を続けていくうちに、日常的に「なぜ?」を考えるようになったんです。

すると、少しづつ先が読めるようになったり、本質的な部分に気づけるようになってきました。

確かに慣れないうちは、的はずれな答えを出してしまうかもしれませんが、徐々にその精度は上がっていくはず。

まとめ:改善次第でできることは増える

ADHDは先天的な脳障害なので、治ることはありませんが、工夫や改善で特性をある程度カバーすることはできます。

最初はやってみても上手くいかないこともあるかもしれませんが、徐々に本質的なモノが見えてくるはず。

というのも、私自身がそうだったからに他なりません。

なので、今回ご紹介した内容も、何回かやって「上手くいかない」と諦めず、継続していけば徐々に効果を感じられるようになるかと思いますよ。

少しでも、悩みの解決になれば幸いです。

それでは今回は以上となります。

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