ADHD不注意優勢型の仕事適性の見極め方【働き方×職業で決まる】

オーくん

ヌケモレや忘れものなど、ADHDの不注意優勢型の特徴があり、仕事ができない。
とりあえず、今の仕事が向いていないのは確かだと思う。
かといって、何の仕事が自分に適性があるのかもよくわからないから、転職をしても、二の舞になりそうで怖いんだよな。
どうすれば自分に合う仕事を見つけられるんだろうか…。

今回はこんな悩みにお答えしていきます。

この記事を書く私も、ADHDかつ、不注意優勢型の特性が強めの当事者なので、仕事の適性が、いかに重要かは身をもって感じています。

そんな私が、ADHD不注意優勢型の人が、仕事の適性を見極めるコツをお伝えしていきます。

ADHDを抱える人の多くは、「できること」よりも「できないこと」の方が圧倒的に多い傾向にあるので、仕事ができない、成果が上がらない、続かない、といった負のループに陥りやすいことと思います。

とはいえ、「どんな仕事なら向いているのか?を知ることも、また難しいな」と、読者のあなたは感じてるんじゃないでしょうか?

そこで、仕事の適性を常に考えてきた私が、ADHDで不注意優勢型のあなたに絞って、適性の合う仕事を見つけるヒントをお伝えしていきます。

すいませんが今回は、ADHDの中でも、衝動性や多動性の強めの方にはお役に立てない内容かもしれませんので悪しからずです。

ADHDの傾向によるタイプ

まずは、ADHDにはこちらの3つのタイプがあるのはご存じでしょうか?

  • 不注意優勢型
  • 多動型
  • 衝動型

人によって特性の出かたは様々で、ひとつの症状だけということもあれば、複数の特性を併せもっている場合もあります。

リアルやネットでADHDの方と交流した感じだと、私の肌感覚としては、たぶん複数の特性を併せ持っている人が多い印象です。

今回、スポットを当ててお話ししていくのが、不注意優勢型で、その特徴については、次で解説していきますので、ここでは割愛させて頂き、多動型と衝動型について簡単に解説しておきます。

多動型

  • じっとしていられない
  • 常に動き回っている
  • 貧乏ゆすりが多い

衝動型

  • 衝動的に後先考えず行動してしまう
  • 人の話を黙って聞いていられない
  • すぐにイライラしやすい

それでは次に、ADHDの不注意優勢型の特徴について詳しくお話ししていきましょう。

ADHD不注意優勢型の特徴とは?

人によって、症状の出かたや、強さはあるものの、ADHDの不注意優勢型の人にありがちな症状をご紹介していきます。

ご自身の特徴を考えながら、確認してみると自己理解に繋がるかと。

苦手なこと

  • 忘れる
  • 勘違いが多い
  • ヌケモレのオンパレード
  • 複数のことに注意が向かない
  • 段取りが悪い
  • 臨機応変な対応
  • 時間管理が苦手
  • 話の要点がずれている
  • 解釈がずれている

得意なこと

  • 興味があることへの集中力が高い
  • 発想力、創造力、感性が豊か
  • 環境や周囲の状況の変化に敏感
  • 思い立ったら即行動できる
  • 好奇心が旺盛で何でもギモンをもつ

たぶん、この中でも人によって強く症状が現れるものと、そうでないものがあるはず。

あと、これは私の経験でもあるのですが、当初は症状があったものの、改善や工夫で症状が目立たなくなることもあるかと。

ADHDの不注意優勢型エピソード【特徴を知るヒント】

あまり自分の特性を意識していなかった人には、自分の特徴を見つけるのが難しかったりするかもしれません。

なので参考までに、私のADHDエピソードもご紹介してみたいと思います。

ぶっちゃけ、かなり恥ずかしいのですが、あなた自身の特徴を知るヒントになれば幸いです。

アルバイト時代

昔、ガソリンスタンドでアルバイトをしていたのですが、こんなミスをやらかしまくっていました。

  • ディーゼル車に間違えてガソリンを入れて車が動かなくなる
  • クレジット決済がいつまでも覚えられず間違えて、二重で支払い処理してしまう
  • 給油した後、給油キャップを締め忘れしまくる

確か、この他にも数限りなくミスを犯していましたが、ちょっと昔すぎて覚えていません。

後にわかることですが、これらの特徴から、ヌケモレ、忘れ、ケアレスミス、物覚えの悪さなどが、かなり強く出ていることに気付きました。

社会人になって以降

社会人になってからも、何年もの間、ミスのオンパレードでした。

  • 書類Aに書く内容をBに書いてしまう
  • タスク崩壊で段取り壊滅
  • ライン仕事で作業が間に合わない
  • 製作したものが不備だらけ
  • 状況に即した臨機応変な行動ができない
  • 数え間違い
  • メールの誤送信
  • 書類や技術書など、何度チェックしても間違いだらけ
  • 何度教えてもらっても理解できない
  • ミーティングの内容を自分だけ別の解釈で理解している

こんな感じで、自分ではもうこれ以上どうしようもないと思える程に注意しているのに、全く改善しないという状況でした。

症状が改善したものと今でもできないこと

社会に出てからも苦しんでいた訳ですが、こちらの記事で書いているような改善や工夫に取り組んでいった結果、中には目立たなくなった特徴もありました。

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目立たなくなった特徴

  • 臨機応変に対応できるようになった
  • 段取りやタスク管理ができるようになった

その一方で、改善に取組み、もう15年以上経ちますが、依然改善しないこともあります。

今でもできないこと

  • ヌケモレが相変わらず多い
  • 記憶力がなく、細かい内容を覚えていられない
  • 複雑な話を、周りは理解していても自分は理解できていない

ぶっちゃけ、こちらは「もう一生付き合っていくしかないな」と諦めました。

なので、転職の時や仕事をしている時、今後のキャリアを考える際は、常にこの特性を意識しています。

この記事を読むあなたも、こんな感じで、ご自分の特性を把握することで、ある程度苦手な分野がわかってくるはず。

ADHD不注意優勢型の仕事適性の見極め方

たぶん仕事の適性って、この組み合わせで決まってくるかと思います。

働き方×職業

たとえ職種が同じであっても、働き方やポジションなどによって、環境や状況は変わってきますので、実は働き方も、「向いてそう」、「向いてなさそう」に大きく影響するはず。

それでは、「働き方」と「職業」に分けて、どんなものがADHD不注意優勢型に向いているのか、向いていないのか、について解説していきましょう。

働き方の適性

私は先日、こんなツイートをしました。

昨今はコロナの影響もあり、働き方も多様化してきて、より選択の幅が増えてきましたね。

これはADHDに限らず、発達障害をもつ方にとっては、追い風なんじゃないでしょうか?

同じ職業であっても、働き方を変えるだけで仕事がやりやすくなったり、精神的な負担が減ったりすることがあるかと。

たとえばこんな働き方がありますね。

  • 一般就業
  • 個人事業主
  • 社長業
  • フリーランス
  • 障害者雇用

おそらくですが、この中でもADHDの人が向いているのは、個人事業主、フリーランス、社長業じゃないでしょうか。

その理由など、詳しいことは、こちらの記事で詳しく解説していますよ。

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ただ、これらの働き方は自由である一方、全てが自分の裁量次第なので、自己管理や向上心がないと難しいでしょう。

このため、自分が好きなことや、熱中できることを仕事にすることはマストかもしれません。

職業の適性

職業を選ぶ際に着目するポイントとして、求められる能力の違いで、こういう考え方ができるはず。

共通して必要な能力と、その職業特有で必要な能力

例えば、スポーツの場合で、ゴルフ選手とマラソン選手に共通して必要な能力のひとつに、基礎体力があると思います。

どちらも、十分な基礎体力がなければ試合の最後まで全力を出すことは難しいですからね。

一方で、それぞれのスポーツ固有で求められる能力としては。

ゴルフの選手は打球のコントロール力や腕力は大切ですが、長距離を走れるような肺活量や持久力は、そんなに重要じゃありませんよね?

一方でマラソン選手は、その逆であることは想像がつくかと思います。

つまりは、こういった方程式が成り立つはずです。

職業適性=業界共通のスキル×職業特有のスキル

業界共通スキルと職業特有スキルのどちらも、そんなに苦手意識がなければ職業適性が合う可能性は高いでしょうし、もし一方だけでも苦手じゃないなら、それも選択肢となるはず。

こんな感じで考えていけば、ご自身の適性に合った仕事選びの精度は、確実に上がることと思います。

結果的にはこんな好循環が生まれるかと。

  • 苦手じゃないから成長が早い
  • 収入が増えやすい
  • 仕事が楽しくなってくる

以上の考え方の参考にしつつ、次はADHD不注意優勢型の人に比較的「合いやすい仕事」と「合いにくい仕事」をご紹介していきます。

ADHDで不注意優勢型の人が合いやすい仕事

細かい注意や繊細な作業が必要無い仕事

  • 営業
  • マーケティング
  • デザイナー
  • 研究・開発
  • 芸能・職人
  • テスター

技能・得意を活かせる仕事

  • 通訳・外国語指導者
  • プログラマー

ADHDで不注意優勢型の人が避けたい仕事

複雑な思考や繊細な作業が必要な仕事

  • 事務・経理・総務
  • 組立工
  • 電気・電子・機械エンジニア
  • 建築士
  • 司法書士
  • 旅行代理店
  • ファイナンシャルプランナー

時間に厳しい仕事

  • ライン工員
  • 電車やバスの運転士
  • 飲食店店員

間違いが許されない危険な仕事

  • 飛行機の操縦士
  • 医者
  • プラント操縦・管理

ここでちょっと残念なお知らせですが、これらの職業の向き不向きの結果を見てわかる通り、ADHDの人にとって、向いている仕事と呼べる職業はあまり多くなく、対して、向いていない仕事が多いのが実情です。

ですが、ここに関しては「視点を変えて考えると良いかな?」と思っていますので、次で、そのあたりについてお話しします。

「向いている仕事」よりも「向いてない仕事を避ける」

ここまでの記事では、あえて「向いている仕事は何か?」ではなく「苦手じゃない仕事は何か?」という書き方をしてきました。

これには理由があり、それは

向いている仕事よりも、向いていない仕事を避ける方が近道

この考え方で仕事を選んだ方が、たぶん現実的だと思います。

もちろん、ここで挙げたのはあくまで一例ですし、中には自分の特性とマッチして、天職と呼べるような「向いている仕事」に出会えることもあるかもしれません。

ですが私を含め、ADHDで適職を探す人は多いものの、「完全に自分に合致した仕事を見つけられた」というエピソードはあまり聞きません。

(一部のADHDもち経営者の自伝などは、残念ながらごく少数の話で、再現性は低いと言わざるを得ないでしょう)

結果、ADHDで悩む方は、”青い鳥を探す”ことを繰り返してしまいがちだと思うのです。

もしかしたらこの記事を読んでいるあなたも、心当たりがあるのではないでしょうか?

私もそうだったのですが、「向いている仕事」を探すのは”超絶”難しい。

理由は、自分が得意なことだけでできる仕事などある訳もなく、どの仕事でも、どこかしら苦手となる部分も含まれているから。

一方で、「まぁそんなに苦手じゃないかも」と思えるような仕事は、いくつか出てきたりします。

この実情から見えてくる戦略は、先ほども書いた、「向いていない仕事を避ける」ということ。

「向いている仕事」は見つからなくても、あなたにとって「これだけは無理」と感じることがあるはず。

たとえば私は、「時間に追われる仕事」や、「ヌケモレが許されない仕事」は「無理だ」と確信しています。

この譲れない「無理なこと」が多い仕事は、あなたの仕事選びの候補から徐々に省いていくことで、自分の適性に合った仕事がわかってくるかと。

若い20代~30代前半までは、適性を探るためにも、様々な職業に挑戦してみるのはいいことと思いますが、30代後半を過ぎても職を転々としていれば、どの仕事のスキルも中途半端となり、リスクが大きくなるのは必然です。

ある程度経験を重ね、自分の特性を理解できるようになったら、意識すべきは、「ベストな選択」ではなくとも、「ベターな選択」ではないでしょうか。

まとめ:向いていない仕事を避ける

ぶっちゃけ、私もまだまだ試行錯誤の中ですが、ご紹介した方法は間違いなく効果があると感じています。

ベストな職業選びができれば良いのですが、これは現実的に考えて難しいです。

色々な経験をしてみて、「ベストな職業」が見つかれば万々歳ですが、もしそうでなければ、「向いていないことを避ける」という「ベターな選択」が、結果的にあなたの成長スピードを加速させることに繋がるでしょう。

今後も、私自身実践しつつ、そこから学んだことをこのブログで発信していきたいと思いますので、参考にして頂ければ幸いです。

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